上山市の特産品の一つに、わずかに生産されている紅柿がある。
上山市のなかでも、とくに農園のある地域一帯の特産品だ。
紅柿の木は、どれも屋根より高い木ばかり。
秋には実も葉も鮮やかな紅色に染まる。
沿線にそって植えられていて、紅葉の季節には赤いトンネルのようだ。
葉を落とした木には赤い実だけが残る。実は渋柿である。
それを長いはさみ竿を使ってもぎ取り、干し柿を作る。
上品なあまさ、絶品の干し柿ができるのだ。
砂糖のない時代には、砂糖の代わりとして使われていたほどだ。
他の地区で作ってもこうはならない。
大昔、お殿様が奨励して植えさせ、現在のように特産品になったと聞く。
せっかくの紅柿も、近年は放任された木が多くなり、葉は病気で黒ずみ、紅葉の前に早々に葉が落ち、枯れ木のように無残な姿だ。
収穫されずに残った実は、野鳥や動物たちにとって冬の貴重な食料になっている。
その昔、一羽の鳥がどこからか大きな赤い実をくわえてきて、庭の木にとまり、落としていった。
その種をまいて育てたのが今に残る紅柿で、今でも紅柿の木が2本保存されている。
その味と美しさに魅せられて、りんご畑に何本か植えている。
落ち葉を集めてテーブルの上に広げ並べてみる。紅色、オレンジ色、緑、鮮やかだ・・
柿の葉は身体にも良いと聞く。若葉は天ぷらやお茶などにも使われる。