家のまわりの庭に大小五つの池がある。
どの池にも金魚やメダカを飼っているが、金魚の姿が見えない。
アオサギに食われてしまったのだ。
残った金魚も岩かげに隠れたままでてこない。話には聞いたが、自分の池の魚がアオサギにやられるとは思ってもみなかった。
春先、池の水がぬくみ、魚が動きだすころ。
夜明けをまって、羽音もたてずに池に舞いおりる。
目立ちやすい金魚を朝食とばかりに捕食する。
犬や人間が起きて追い払うが後のまつりだ。
サギやカモなどが住むようになったのは近年のことで、目新しいのである。
近くに宮川という川が流れている。
かつて、上流に銅の鉱山があり、鉱毒水で川やたんぼの土までが赤く染まり、生物は住むことができなかった。コメつくりも苦労してきた。
最盛期には百数十人の鉱夫たちが働いていたが、昭和30年代に閉山となった。
閉山後も廃坑からは、強い鉱毒水が宮川に流れ続けた。
その後ようやく鉱毒対策事業がはじまり、川もきれいな水が流れるようになって30年近くになる。
水草も生え、ウグイやハヤなどの魚も住みつくようになり、それをエサにする水鳥たちがすむようになった。
川辺の柳のこずえにシラサギが10羽もとまっていたり、アオサギが20羽ほどの群れで飛んでいることもある。
それにしてもサギは、姿かたちがとても優雅で、その姿につい見とれてしまう。
池の金魚が食べられたくらいでは憎めない鳥である。
池に網を張り、金魚たちをっている。
だが、すこしでも隙間があるとそこを狙って食べにくる。
今でも、網よりサギのほうが勝っているのだ。