農業の、少しだけ専門的な話をわかりやすくかいていきます。
農園だよりにミニ論文コーナーがあり、そこで農業のさまざまな話や意見をかいてきました。それをサイトに少しずつまとめていきます。
ほとんどの果物は台木(根)を使って苗木を作る。
その台木が生育や生産を大きく左右する。
夏に赤スモモの種を千個くらいまいた。
発芽率は一割以下。そこから秋までに何本が育つだろうか。
赤スモモは、むかし、農家の庭先によく植えてあった。
原種に近く、枝も葉もくすんだ赤い色で、親指ほどの丸い実をつける。甘酸っぱくてうまい。
今では村に3本しか残っていない。どれも百年を過ぎた大木だ。
赤スモモの特性からして桃やプラムの台木に最適に思えるのだ。
一般には桃やプラムの台木は花桃の種から育てたものを使っているが、短命で連作障害がひどく、凍害もでやすい。
当園ではプラム月光の安定的生産を目指して試行錯誤中だが、凍害には勝てず次々と枯れてしまう。
めげずに植えていくしかない。新たに450本ほど植えたが、はたして何本残るやら・・・
赤スモモを台木とするプラム、その結果がわかるのは2,30年後。(園主が)あちらの世界で確認することになる。
これまでにも、さくらんぼ作りで同じような苦労をしてきた。
さまざまな桜の木を台木に試みたが良い結果はえられなかった。
そのうちに苗木屋さんが花桜のなかから、より優れたものを見出し、コルトと命名した。
今ではコルトを台木に使うことで安定した生産が可能になった。。
平成27年、土の中からノーベル賞が生まれた。
私もいろいろやった結果、大将錦というすばらしいさくらんぼに出会えた。
加藤勇